時代の移り変わりの中で、社内に個別ブースを設置する企業が増加傾向にあります。周りの音をシャットアウトして業務で集中できるなど特徴の多い個別ブースは、選ぶタイプによって導入コストや空間の広さが異なるので注意が必要です。そこで今回は、個別ブースの特徴を紹介すると共に、選ぶ時の見極めポイントについて解説していきます。
1.個室ブースとは何か
個別ブースとは、文字通り視線や音など遮断することができる個室です。従来のデスクを並べるオフィスと違って、周囲の視線や話し声などで集中を乱されたり、作業を中断させられる心配がありません。一口に個室ブースと言っても、完全に空間をシャットアウトできるタイプもあれば、パーテーションなどで区切るだけの簡易的な物もあります。選ぶタイプによっては場所を取らない物もあるので、社内の使われていない空間、所謂デッドスペースを有効活用することも可能です。
2.個室ブースの種類と用途
ブースは大きく分けてクローズ型、セミクローズ型、オープン型の3つの選択肢が用意されています。比較的多くの企業が採用しているクローズ型は床、4面の壁、天井全てを囲んでいるタイプです。完全クローズ型と言われることもあるこのタイプは、遮音性、吸音性の高さが特徴になります。隙間なく密閉されているため、空気の停滞や明るさへの不安を抱く人も少なくありません。クローズ型の多くは換気、照明といった設備が整っているので、作業に支障が出ることもなく快適に利用できます。
セミクローズ型は、床と4面の壁が囲まれている点はクローズ型と同じですが、天井部分はオープンになっているのが特徴です。四方が壁で遮られているので、周囲の視線を気にせず作業に集中できます。天井部分が空いていても壁の効果で音がシャットアウトできているので、通常の声量の会話であれば室内に入ってくる心配がありません。
オープン型は正面と両サイドの3面がパーテーションで仕切られているタイプです。1面がオープンになっていることで、外とのコミュニケーションを取りやすいというメリットがあります。ただし、クローズやセミクローズに比べて音や声をシャットアウトする力は弱く、顧客との商談や会議をする場合は注意が必要です。
メーカーから市販されている個室ブースは1人用、2人用、4人用の3種類が基本とされています。利用人数に応じて設置に必要なスペースが広くなるため、事前に設置場所の寸法を正確に測っておかなくてはいけません。
3.個室ブースの選び方
個室ブースの選び方で重要となるチェックポイントが防音や遮音性、換気のしやすさです。会議や商談といった大事な話し合いの場としてブースを活用する企業も少なくありません。機密情報のやり取りなど外部への漏洩を防ぐための防音、遮音性を重視する場合には、天井や四方を壁で囲まれているクローズ型が適しています。遮音性に優れたタイプは気密性が高い分、空気の循環が難しくなりがちです。天井扇のような空気の入れ替えをスムーズに行える機能の有無も、大事なチェックポイントになります。
日本で個室ブースを活用する上で、忘れてはいけないのが消防法への配慮です。日本では個別ブースも消防法の対象となっているので、必要な機能が搭載されていることを確認しておかなくてはいけません。消防法をクリアするための主な機能として、火や煙の感知器、スプリンクラーヘッド、緊急時の情報伝達に使用する放送設備などが挙げられます。
メーカーによってサイズに若干の違いはありますが、1人用の個室ブースは幅と奥行きが約1.3m、高さは2m前後が一般的です。クローズ、セミクローズと選ぶタイプで数m程度サイズが変わることもあります。2人用ブースの寸法の目安は、幅2.4m、奥行き1.2m、高さが2m前後です。4人で使用するブースは幅、高さ共に2人用とほぼ変わりませんが、奥行きは人数が増えるので1.6mのスペースを確保しなくてはいけません。ブース内で行う作業で求められる遮音性は様々です。一般的に人が無音だと感じる音量は20から30デシベルと言われています。大勢の人が同じ空間にいるオフィスは平均70デシベルになるので、最低でも40デシベル程度の遮音性は必要です。
導入にかかるコストは利用人数やタイプが同じでも、メーカーごとに金額が大きく変わります。初期コストを抑えた導入を実現しやすいことで人気があるのがgridです。完全個室のクローズタイプでも50万円前後と手頃な価格設定になっています。大手から中小まで幅広い企業に選ばれているframeryは、機能性と設備の充実が魅力です。その分、導入コストは高めで平均相場は200万円前後になります。
機能性と価格の両方を考慮する
個別ブースの導入コストは広さだけでなく、搭載されている設備でも大きく変わります。コスト削減を目的に値段の安さだけを重視した結果、機能不足で作業に支障が出て買い替える羽目になったという失敗例も少なくありません。個別ブースを導入する時は、いくつかのメーカーをピックアップして、価格と機能の両方で比較検討することが基本になります。